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2008/1/13 人生における、雑感、ボヤキ、など。
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さて、当ブログも開設より半年を経過しようとしている。
一日、片手で数えられるほどの訪問者しかいないまさに限界集落のごとき過疎ブログではあるが。
このような駄文をこね連ねることしか能の無いここへいらしてくださる方々には、全く頭の下がる思いである。
ありがとうございます。

さて、当方、いい年こいてみっともないエロゲーマーである。
社会の敵、パブリックエネミーと呼ばれそうな存在であることは重々理解している。
エロゲー、といえば。
どこかで見たがまさしく『大人かわいい女子も叫んで逃げ出す究極のハラスアイテム』である。
世の中広しといえどもそのようなものにはそうそうお目にかかることは出来ぬことうけあいである。
が、まあ、それはそれで、エロゲーでしか得ることのできぬ、決して他人には言えぬどこかほの暗い愉悦のようなものはあるので、別段そんな境遇を脱しようとかは思わぬわけであるが。

さて、そんな当方がエロ輔などでゲームについての評価を下すとき。
いくつか重視するポイントがある。
ざっと頭に浮かぶのが、絵柄の好み、CGの塗り、BGMの質、ゲーム性の有無、シナリオの質、量、そして読み物としてのテキストの読みやすさ等である。
さて、今回ここで問題にしようとしているのは、この『ヨミヤスサ』というものについて、である。

読み易さ、とは、具体的にどのようなものであるか。
これはなかなかに難しい。
簡潔に言えば、当ブログの正反対のような文章のことであろうか?
ざっくりと簡潔に。
余分な修飾は極力除き。
読むのに困るような難しい漢字は決して多用せず。
傍らに辞書が必要なほど難解な熟語などを使わず。
気負いや気取りを感じさせる言い回しは控え。
それでいてしっかりと意味や状況を読み手に伝えることのできる文章である。

このように書くと、なにやらクソつまらぬものであるように感じる。
実際に、それ”だけ”の文章であれば、確かにあまり面白いとはいえぬかも知れぬ。
過去に一度、ざっと目を通したことのある、彼の『携帯小説』のようなものを想像してしまう。
紙の無駄遣いかというほど白っぽいページ。
ぶつ切りの文章。
矢鱈と広い行間と、あまりの手ごたえの無さ。
が、実は当方、あれはあれでよいと思っている容認派である。

確かにあれは、自身で読んでも決して面白いとは言えぬシロモノであった。
が、実際にあのようなものが”売れて”いる下地というのは確かに存在するのである。
既存の文芸的形而下には決して収まらぬ、そして既存の権威的視点から見れば全く取るに足らぬイロモノ。
であるにも関らず、それは多くの大衆に支持されたのである。
彼らはコムズカシイ、大上段に構えた、権威によって過剰に修飾され孤高へと追いやられた、逆に言えば狭く深くマニアックに成り往く既存の”ブンガク”というものよりも。
あのような”軽さ”と”簡潔さ”。
ある意味”おおらかさ”を支持したのである。

とはいえ、最近はあまりその存在自体耳にしなくなってきてはいる。
しかしだからといって、彼の携帯小説群を”一過性のブーム”と見るのは早計ではあるまいか。
心せよ。彼らは再び現れる。
トレンドという姿を借りて、我々の目の前に。
一握りの権威によって決定され、大衆的価値観との乖離を進め、狭く深くよりマニアックとなった”ブンガク”をあざ笑うかのように・・・。

と、話が大幅にそれた。
つまりそれほどこの『ヨミヤスサ』というのは大事な要素なのだ、ということである。
内容云々以前に、まず、読む気にさせなければ意味が無い。
そのためにはやはり万人に読みやすい簡潔さ、というのが必要だと思うのである。
権威の上にあぐらをかき、「わかるものだけわかればよい」というのでは、ある意味潔くはあるが、しかし、その道で食っているプロの文章家としてはあまりにお粗末である。
故に、文章的な見地において”人を選ぶ”というのは、全くと言ってよいほど否定的な文言であると言える。
まあ、言ってる本人たちにしてみれば、そこにもまた隠微なほの暗い愉悦のようなものがあるのだろうが・・・。

ただし、そのように言っても、である。
簡潔に、素直に、それでいて力強い。
読むものをあっという間にその世界に引きずり込む。
そんな文章を書けるのは文学史上を見ても極々一握りの存在である。
彼の太宰治もとある短編の中でこのようなことを言っている。

”素朴な、自然のもの、従って簡潔な鮮明なもの、そいつをさっと一挙動で掴まえて、そのまま紙にうつしとること、それより他には無いと思い、そう思うときには、眼前の富士の姿も、別な意味を持って眼にうつる”

もちろん太宰はこのように言ったすぐ後、いやしかしそれでもなどとぐずぐず思い悩む姿をしている。
ここで彼の言っているのはいわゆる文章内における局所的な”単一表現”のことであり、文体自体のことではないであろう。
なるほど一目見て「ああ、太宰だ」とわかるほどアクの強い文章を書く太宰らしからぬ言葉と思う。
が、ある意味、上記のような文章もまた、一つの到達点であるような気がする。

当方がこのようなことを言い出したのは、つい数ヶ月前、一冊の本を読んだからである。
その本のタイトルは
『歴史と視点─私の雑記帖─』
なる、司馬遼太郎氏の著作である。
氏の著作はいくつか読ませてもらっているが。
総じて実に文体が簡潔である。
その上、文章に引き込む力が兎に角凄い。
そしてそれだけではない。
読んでいると必ず、なんと言うか、強烈な光を放つ一文が思いもよらぬところに潜んでいるのである。
上記の著作の冒頭に、このような一文がある。

”人間というのは日常世界のベルト・コンベアの上に載せておくと他の生物同様、いかにもしおらしい。
しかしひとたび─戦争や革命などで─まかりまちがうとなにを仕出かすかわからないバケモノ性をもっている。
バケモノは一面では戦慄的だが、一面ではとほうもなく雄大である。
日常生活にあってその戦慄にあこがれる体質の人は好戦的ドスの利いた畳の上の愛国者になり、雄大にあこがれる人は焦がれるような革命願望者になるのであろう。”

わかりやすく簡潔な文体でありながら、と胸を突く文章である。
この発想、人間への観察眼。
どのように生きればこのような発想に行き着き、どれだけ文章を書きつづければこれほど簡潔でそれでいてすっと胸に入り込む文章を書けるのか。
何気ない文章であっても、その研ぎ澄まされた文体はまさしくある地点にたどり着いたものだけが扱える神韻を伴ってると感じるのはいささか言いすぎであろうか?

で、情けなくも自分の開設半年となるブログ上の駄文を思い出してあろうことか比較までしてしまったのであるこの阿呆は。
ああ、ゴメンナサイゴメンナサイ・・・。
別段文章で食っていこうなど考えたことも無いし。
あちらはプロの中のプロ。
日本中の物書きが一度はその上を通って絶望するであろう伝説の存在である。
こちら側の自分ごときがどうということもないはずなのではあるが・・・。
ただ、なあ・・・。
せめて自分のブログ位は、もう少しわかりやすく簡潔に、面白く書きたいものだなどとふと己を省みてあまりのみすぼらしさに絶望しただけなのである。
生まれて、すいません。

が、あきらめてしまえばそこまでである。
彼の司馬氏とて、その境地にたどり着いた道程を”才能”の一言で切り捨てられるのはさぞや心外であろう。
いずれ、書きつづけていれば、もっと簡潔で、平易で、そして面白い文章が書けるようになる。
それが果たして十年後になるか、二十年後になるか。
五十年後になるか、六十年後になるか・・・。
いや生きてんのか?自分。
てか、そのときもまだエロゲとかやってたらいやだなあ。
いやいや、それはそれで尊敬に値する・・・か?

ちなみに。
司馬さんの『歴史と視点~』はとても面白かったです。
どうしようもなく暗い時代の話であるはずなのに。
どこか不思議なユーモラスさがあり、腹を抱えて笑いました。
もちろん、いろいろと考えさせられることもしきり。
なにか読むものを探している方は、ぜひ、ご一読をお勧めします。
新潮文庫より、出ている、はず。
なにせ古本屋で買ったものだからなあ。
興味があればお探し下さい。

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って、結構自信あったんだけどなあ、今回。
まさかゴスホークケンがレコードペースで逃げるとは・・・。
ちょっとひどいね。
まんまと意図しないペースメーカーになっとる。
騎手の力量差と少々の間隔の開きすぎが原因か。
二ヶ月弱は少しだけ気にはなっていたのだが。
もうちょっと考えて乗って欲しかったところである。

というわけでまんまと連敗再開です。
収支は+5180円。
はたしてこのプラスもどこまで持つものか・・・。
堅くいってもあたらんのだなあ、自分。

ここ札幌も、随分と暑くなってきた。
昨日土曜日は真夏日も記録で、いよいよ夏本番を思わせる。
湿度も高く、非常に不快である。
暑いのが苦手な当方としては、いささか厳しい季節である。
融ける・・・。
キリマンジャロの氷河どころか俺が融ける・・・。

そういえば、かつて、黒い馬は夏場は不利であるという逸話を聞いたことがある。
もともと競走馬は暑さに弱い生き物であるうえ、鹿毛や青鹿の馬は日光の熱を吸収しやすいとか何とか。
本当なのだろうか?
都市伝説っぽいが・・・。
とまれ、競走馬が夏に弱いというのは、個体差は多少あるものの、おおむね本当であるようだ。
が、一般的に、牝馬は暑さの影響を牡馬ほど受けにくいという。
牡馬よりも環境に対する適応力や耐性が優れているとか何とか・・・。
故に、逆に寒くなってくると牝馬はその高い適応力というのがアダとなり脂肪がつきやすく、またフケの影響も出て、狙いにくくなるというお話である。
と、だらだらと競馬ファンならあたりまえに知っているであろう事を語ってしまった。
では、気を取り直して。
今週は+6180円よりスタートです。

”函館スプリントS 函館 芝 1200m 混合別定 G3”

さて、今週は函館電撃6ハロン戦である。
深い洋芝と短い直線の影響で、平坦であるにもかかわらず時計のかかる函館コース。
ここをきっちり勝ちきるにはそれなりのパワーと積極性が必要である。
今回は④ウエスタンビーナスあたりがハナを主張。
有力どころでは③⑥⑦⑧⑮あたりが前々の競馬となりそうである。
芝の状態もまだまだ問題なく、⑦マイネルスケルツィあたりが競りかければ、或いは函館なりにハイペースにもつれこむ可能性も考えられる。
となると、斤量の軽い差し馬の台頭もある程度視野に入れておく必要がありそうである。
では、ざっくりと流して行きましょう。


①トウショウカレッジ テレビ愛知OPでは波乱を演出も前走は案外。強いところとやってきているのは好感が持てるもさすがに追い込みでは届かぬか?今回は見送り。

④ウエスタンビーナス 前走好走も今回は斤量も1k増える。逃げて目標にされるとさすがに厳しいかも。

⑤コパノフウジン 三走前に高松宮のファイングレインの二着がある。が、人気薄で斤量も54k。アテには出来ないか?

⑦マイネルスケルツィ ここ四走ダートメイン。パワーはあるし実績も申し分ないが・・・。大型馬だけに休み明けで仕上がり具合に?

⑧キングストレイル 北海道に強い藤沢厩舎の馬ではあるが、近走見るにどうにもパンチ不足。斤量も57kと重く、食指が動かない。人気先行の典型くさい。見送りで。

⑨タニノマティーニ さすがに近走の成績を見ると買えない。八歳馬だし。夏場は厳しそう。

⑪プレミアムボックス 能力はそれなりにありそうだが休み明けでどうか?今回は見送りで。

⑫リキアイタイカン 十歳ですか・・・。昔は好きだったんだけどなあ、この馬。さすがに買えません。

⑬ミリオンウェーブ 前走葵Sで大波乱を演出。ここ二走上々も相手関係に疑問。今回が試金石か?様子見の意味もこめて見送りで。 

⑭タイセイアトム 芝で勝ち上がるも本質はやはりダート馬。能力は認めるも馬場がよほど荒れないときついか?大沼Sだと距離が長いと踏んだのだろうがいささか相手が強い。ペースを引っ掻き回さないか心配である。

⑯タマモホットプレイ ここ最近いいところなし。斤量も重く変わり身もなさそう。見送りで。


おやおや。
16頭中11頭も消えてしまった。
では、残る5頭のの詳細な検討に行きます。


②スピニングノアール ①トウショウカレッジとほぼ同じ臨戦過程である。が、こちらの方がムラも少なく、殊、短距離戦に関してはスペシャリストである。程よく人気も下がり今回こそ狙い時か。

③ゴスホークケン 昨年度の2歳チャンピオン。その後いささか崩れるも馬体は良い感じに仕上がってきている。NHKマイルCは後のダービー馬の07秒差と着順ほどに負けてはいないという印象。能力的にも今回はトップクラスと見て間違いない。且つ、53kと斤量にも恵まれ中心視。

⑥キンシャサノキセキ 前走高松宮記念では一着ファイングレインと差の無い2着。正直それほど信頼できる馬という印象は無いがさすがにはずすわけにも行かないというのが現状である。押さえまでに。

⑩シンボリグラン 実績、能力ともにトップクラスもここのところ全くいいところなし。が、平OPとはいえ前走58kで02秒差4着と復調気配もうかがえる上、前がある程度速くなればまとめて差し切る力は十分持っていると見る。六歳とはいえまだ老け込む歳ではない。

⑮ルルパンブルー 桜花賞より三ヶ月ほどの休養明けも、斤量51kの魅力には逆らえない。多少理論武装っぽくなるが良績が1200mに集中している上、ファルコンSでも世代トップの一角であるダノンゴーゴーの02秒差三着の好走とあってはこの距離で大化けの可能性も含んでいそうである。冒頭で語ったように、夏は牝馬という言葉もある。もし勝ちきるようなら秋も楽しみな存在であるといえる。単穴まで。


ということで、印を打つとこのようになる。

◎ ③ゴスホークケン
○ ⑩シンボリグラン
▲ ⑮ルルパンブルー
△ ②スピニングノアール
△ ⑥キンシャサノキセキ

ム。
案外堅いか?
で、買い目はというと。

ウマレン

②─③ 72.9  300円
③─⑥ 14.5  200円
③─⑩ 163.1 200円
③─⑮ 90.7  300円

※JRA発表の前売りオッズです。

この四点で勝負である。
函館は一発目から当たりを引いて、いささか相性のよさを予感させる。
ここもさっくり当てたいところ。
やや堅めなのは気になるのだが・・・。
まあ、勝てば官軍という言葉もある。
頑張ります。
では、よい日曜日を。

いつの間にやらサミット期間である。
街で見かける外人さんも随分と増えているように感じる。
サミットにあわせ、さまざまな催しや会合などがあるからだろう。
何にせよ、にぎやかな事は結構ですな。

ただ、困った事もある。
それは、突然の交通規制である。
大概の市内におけるイベントの場合、事前に規制個所や時間などがわかるようになっているのだが、今回ばかりはそうはいかぬらしい。
まあ、イベントの性質を考えればあたりまえか。
しかし、今回も突然の規制により、駅前などでは阿鼻叫喚の地獄絵図と化すのであろうなあ。
事前にわかっていても、不便なものである。
昨年などは当方、まんまと札幌マラソンの渋滞に駅前でつかまってしまったクチである。
しかもタクシーで。
動かないわメーターはずんずん上がるわあちらこちらでこすったりぶつけたりの事故は多発するわで、まさしく現場は酸鼻を極めていたものである。
で、結局タクシーは大通公園を越えることあたはず。
駅から大通まで三千円もかかってしかもそこから歩く羽目になってしまったのである。
恐らく今回は、中心部は麻痺に近い状況になるのではなかろうか。
あらかじめ、これからつかまる人のために。
ご冥福をお祈りします。

さて、きょうはエロゲー、『殻ノ少女』の発売日であった。
某ヨドバシまで出向き、購入してきた。
が、そのあまりのコンパクトさにいささかびっくり。
思わず
「これで・・・いいんだよな・・・?」
とか、購入をためらってしまったほどである。
いやー、小さい小さい。
まさに透明CDケース一枚分である。
持ち運びには便利だが、どうにも物足りない事この上なしである。
しかしまあこれならば歩行中に職質かけられても、同族(?)でもない限りは華麗にスルーされそうである。
裏とか見られれば一発ナンダロウケドネ。
きっちり裸のネエチャンいるし。
とりあえず、内容は面白いことを祈ります。

馬に関しては今週は函館スプリントを予想する予定。
ざっと見る限り、なかなかに決め手にかけるメンバーがそろった模様。
大荒れまではなさそうだが、それなりの配当は期待できそうである。
さて、今回は何連敗まで伸ばせるかなあ?
オラ、なんだかワクワクしてきたぞ!
ということで、予想は日曜日の早朝です。

宝塚記念は残念であった。
しかし、怪我ばっかりはなあ。
南半球産ということでこれから楽しみにしていた馬だけに、なおさら残念である。
競馬をやっていれば、馬の怪我で悔しい思いをするというのはよくあることだ。
有名なところでは98年の秋天のサイレンススズカの故障などであろう。
が、当方がもっとも鮮明に記憶している、ある不幸なシーンがある。
いまからちょうど八年ほどまえのこと。
忘れもしない5月20日、東京の第2レース。
旧年齢表示で4歳未勝利戦の出来事である。

当時、自分は転がしというものに嵌っていた。
競馬の醍醐味はなんと言っても転がしである。
少ない資金で大きく稼ぐ。
そのためにはやはり転がしこそ正解であると、現在でもそのように考えている。
もちろん、なかなか上手くはいかない。
どんなに堅く狙っても、まあ三つ転がれば御の字である。
開催前夜に競馬新聞を購入し、がっちり予習を行う。
堅いであろう馬の単勝、或いは人気は無いが面白いと感じる馬の複勝をあらあらとピックアップしてゆく。
そしてそれらを精査し、三レースに目星をつけるのである。
当日は新聞など不要。
お財布にその日のスタート金額だけ放り込み、赤ペンもっていざウインズである。
外れたらその場ですっぱりとあきらめ帰宅する。
財布に余分な金を入れておくとそのあたりは馬券師の性、弾が尽きるまで突っ込んでしまうので大変危険である。
そのような、ある意味健全な馬券生活を送っていた最中の出来事であった。

2000年5月20日、土曜日。
当の東京競馬場は小雨のぱらつく生憎の天気であった。
前夜に予想した購入レースは1R、2R、10Rの三つである。
第1R。
お財布に放り込んであった五千円を、迷わず③ゲンパチダイヤの複勝に突っ込む。
③ゲンパチダイヤ、スタートはまずまず。
中団やや後方を淡々と進む。
この日のダートはかなり足抜きの良い状態。
行った行ったの未勝利戦とはいえ、挽回の余地はまだある。
鞍上勝浦は砂被りでじっと機をうかがっている。
直線に入り、先行していた一番人気の中舘の馬が突き放しにかかる。
当方のゲンパチダイヤはまだ馬群の中。
だがそこは府中のながいながい直線である。
前が開いたと見るや、鞍上勝浦のステッキが一閃。
見る見る馬群を割りゲンパチダイヤが上がって行く。
我がゲンパチダイヤ号、必死に追いすがるも先行した一番人気は余裕のゴール。
前の馬を追い詰めるも、首差の三着までであった。

が、まあ馬券は的中している。
複勝であるが故に、発表まで正確なオッズはわからぬが、先ず単勝人気から三倍は堅いであろうというのが当方の予想であった。
果たして。
③ゲンパチダイヤの複勝は240円。
予想よりわずかに安い。
まあ、がちがちの一番人気が勝ったのならばこんなものか。
ここは切り替えて、さっさと換金に走る。
次の買いレースは2Rである。
時間が惜しい。
とりあえず、五千円が一万二千円に増えたのだから、良しとしておこう。

次は第2レースである。
で、ここでちょっとした異変に出くわすこととなる。
当方が購入の予定であった⑭サクラメダリスト号の人気が芳しくないのである。
間違いなく一番人気かそれに準ずるところであろうと考えていたのだが。
蓋を開けてみるとどうにも人気が無い。
発売当初二番人気であったものが、時間がたつごとにどんどん人気が下がっているのである。
ついに単勝千円を超えたところでパドックに目をやると、いささか入れ込んで小足を使っている状態であった。
この時期の未勝利戦ながら初出走の馬でもある。
このあたりが敬遠されている理由か。
とりあえず一安心。
当方の見るところ、この程度は全く問題ではない。
馬体を一目見ただけで、別物のオーラを発しているのである。
砂粒の中に、ダイヤモンドが混じっている。
それほどまでに見栄えのする馬であった。
ここまで未出走で来たのは足下に問題でもあったか、或いは体質が弱かったのか。
女馬ながら500k近い大型馬である。
仕上げるのにも時間が必要だったのだろうという結論に達した。
且つ、馬体の張りや腹袋、胸前、背中、トモ、全体のバランスを見ても、仕上がりには何の疑問も無い。
なればむしろオッズが騰がるのは好都合というもの。
気分は
『愚民どもよ、我がためにもっとオッズを上げるがいい』
といったところであったという。

最終的には四番人気、1170円までオッズは上昇した。
当方がそのとき確認できたのは1100円を超えたというところまでである。
当初の予定通り、全額単勝に突っ込むこととする。
一万二千円の十一倍だから十三万二千円である。
当時若造であった自分は、かなりドキドキしたものだ。
この十三万を10Rの複勝に全額突っ込めば、今夜は豪遊できる、と。
もはや飲み屋のお姉ちゃんや風呂屋のお姉ちゃんのことで頭が一杯であった。
若かったなあ、自分。
というわけで、夢への第一歩。
ゲートもすんなり収まって。
東京2R4歳未勝利牝馬限定ダート1600mの発走である。 
さあ、一斉にスタートです。
と、一頭出遅れているのは⑭サクラメダリストか。
えええええええ・・・。 

しかし鞍上蛯名、なかなかに落ち着いている。
軽く気合を付けると中団やや後方の位置につける。
ここまでは1Rとほぼ同じ。
未勝利戦で、なまじっか足抜きが良いだけにペースはなかなか速くなっている。
これならば中で前をうかがうのも面白い。
問題は初出走で泥をかぶって走る気を失わぬかどうかだが。
2コーナーでも蛯名動かず。
中団でじっと前をうかがっている。
馬を見ると嫌がっている様子も無い。
足も上がっておらず、頭も低い。
しっかりと折り合っている。
さて、どうか。

と、3コーナーに差し掛かり、おもむろ蛯名動く。
手綱を絞ると、がっちりハミをかんだ気配がうかがえた。
そこからが圧巻であった。直線に向いて内に入ったメダリスト。
蛯名がステッキを入れるとあっという間に馬群を割って前三頭に襲い掛かる。
と見えたのもつかの間、直線半ばであっさり捕らえてごぼう抜き。
その加速といったらもう。
そしてそのときの自分といったらもう。
「よっしゃ!キター!」
突き放す。
三馬身、四馬身、五馬身・・・。
強い強いぞメダリスト、ゆけ、お姉ちゃんの夢を乗せ。

しかし、好事魔多しとはよく言ったもの。
ここで思わぬ悲劇がこの馬と自分の夢を襲う。
残り五十メートルといったところであったか。
もう数完歩でゴールというときに。
鞍上蛯名が
 ────宙を、舞った────・・・ 。

ぇえええぇえええ!?


骨折、予後不良との事であった。
当方はといえば、茫然自失である。
何が起こったのか理解できないというのはまさにこのことであった。
自分の前に居座っていたおっちゃんが。
「よっしゃ!よっしゃ!」
不謹慎に大騒ぎしている後頭部を、ただ、ガラス玉のような目で眺めつづけていた記憶がある。
しばらくして、我を取り戻した自分は、やるせない気持ちを抱えたまま家路についた。
家に着くなり、そのままフテ寝をした。
購入予定であった10R、⑯リンガスパレードが三着入線、複勝が440円ついたというのを知ったのは、しばらく後になっての話である。

その頃からであろうか?
自分の競馬への情熱が少しづつ醒め始めたのは。
あれほど足繁く通っていたウインズへもほとんど行かなくなり。
知り合いに誘われれば稀におつきあいでエクセルへ入る程度。
最近は十年来の知人の自慢話を聞く程度となっていた次第である。
が、再び予想だけでもはじめてみると、やはり競馬は楽しいものだ。
そんな風に感じている、この頃である。

ちなみに。
サクラメダリストの兄にはサクラナミキオーがいるのは当時の購入条件の一つとして知っていたが。
その後、弟でサクラプレジデントという馬が現れ、一時期競馬シーンを賑わわせていたという。
それを知ったのはつい最近。
件の知人からのお話によってである。
彼女のたった一度だけの、その雄姿を思い出し。
納得する事しきりであった。
やっぱりおまえさんも、強かったんだよなあ。



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