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2008/1/13 人生における、雑感、ボヤキ、など。
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先週末、一本の映画を見た。
DVDで、だが。

題名はクロスロード。
86年の映画らしい。
ついこの間より、知人に捜索を依頼されていたのだが、ネットで調べてみると、近頃、廉価版で再プレスされたらしい。
ただ、自分の知る限りオンラインでの廉価版の動きはまだ活発とは言えず、どこでもほぼ在庫の無い状態。
ゆえに「こちらも今週末ぶらっと出るとおもうから、量販店の方が見つけやすいと思うし」とか、安請け合いしてしまったのだ。
結果、捜索二軒目で無事発見することが出来たのだが、当人に連絡をとってみると、ことのほか喜んでくれた。
当人曰く、「見ても良いよ」との事だったので早速時間を作って拝見することとした。

物語のあらすじは斯様である。

とある音楽学校に一人の少年がいた。
卓越した才能とテクニックを持ち合わせるクラシックギターの天才児である。
しかし、少年は現状に不満を抱いている。
両親の勧めのまま、この道に踏み込んだこと。
両親が離婚したこと。
この道に踏み込んでからブルースに出会ったこと。
さまざまな要因により、彼の心の内部では両親の不和=クラシックギターという風に、代償的に置きかわってしまったのかもしれない。
とにかく、少年はブルースというものに惹かれた。どうしようもなく。
そして一人のブルースギター奏者と出会う。
夭折してしまった天才、ロバート・ジョンソンである。
そのあまりのテクニックに、世間は
「彼は悪魔と取引し、自分の魂と引換えにブルースを手に入れた」
等と言い出す始末である。
そんな彼の生涯書き起こした曲目は29曲。
しかし、うわさでは未だ日の目を見ぬ30曲目が存在するというのだ。
少年は30曲目に興味をもった。
何としても探し出したい、自分の手で世間に発表したい、と。
あれやこれやと彼の周辺を探るうち、自分のごく近くに彼の関係者がいる事を発見する。
かつて、ロバート・ジョンソンと共に演奏し、自身も天才と名高いブルースハープ奏者にしてボーカリスト、ウィリー・ブラウンである。
このウィリー、現在は少年の住む町の医療刑務所に入所している。
彼ならば、あるいは幻の30曲目について、知っているかもしれない。
少年は勇んでウィリーに面会に向かった。
が、人間と関わる事に煩わしさを感じていたウィリーにすげなく追い返されてしまう。
少年はあきらめきれず、今度は清掃員のアルバイトとしてウィリーに近づこうとする。
どんなに頑張ってもすげなくあたるウィリーだったが、あるとき、半ばヤケ気味にギターを持って現われた少年の音を聞き、なにかを感じたのか、ロバートの30曲目を彼に教える約束をする。
その代わり、自分を故郷のミシシッピ州へ連れて行ってほしい、と少年に持ちかける。
始めは悩む少年であったが、自分の未来と幻の30曲目のため、ウィリーを医療刑務所から脱獄させる事に成功。
そしてウィリーと少年、奇妙な二人連れのミシシッピへの旅が始まる。

ややネタバレだが、出だしとしてはこんなところであろうか。

さてこの映画。
なかなかに楽しく拝見させてもらった。
ストーリーとしてはやや荒唐無稽なところはあるが、一個のエンターテイメントとしては先ず、鑑賞に堪えうるものだ。
少年とウィリーの、ミシシッピへの旅を通しての、二人のこころの交流がしっかりと、且つ無理なく描写されていて、すんなりとこちら側に入ってくる感じである。
ウィリー役が特に良い。
ああいった静かな、いるだけで存在感のある演技の出来る人はなかなかいないものだ。
動きの中の演技ではなく、表情の演技と言おうか。
役どころもはまり役であり、世故に長け、女好きで、口が悪く、時にあくどい、だがしかし面倒見がよく情に厚い80近い老人を見事に演じている。
或いは、彼を見られるだけでこのDVDの代金1200円分の価値はありそうである。

だが、この映画の真価は演技とか役者とかシナリオとか、そういったものではない。
とにかく、かっこいいのである。
全編通して流れるブルースが。
先ずオープニング、一人の黒人男性のギター一本のブルースから始まる。
これがロバート・ジョンソンなのであるが、本人かどうかは当方不勉強ゆえ不明である。
これで一気に引き込まれる。
そして所々でウィリーのブルースハープを奏でる場面が現われる。
ときに朗らかに、ときにむせび泣くように。
遠くの汽車の音であったり、路上でのセッションであったり、酒場でのライブであったり。
そしてラストのギターバトル。
何と、敵役はあのスティーブ・ヴァイではないか。
まさに超絶、である。

どこかで聞いたことがあるが、当のスティーブ・ヴァイ氏はブルースが嫌いなのだそうである。
本人曰く、どこか当たり前すぎる、と。
もっとも嫌いなのはカントリーだそうだが。
そんな彼がこんなブルース映画に出ていたなんて。
正直、かなり驚いた。
だが、本編中ではその超絶技巧を遺憾無く発揮している。
かつていささかかじっていた自分としては、思わぬ眼福であった。

斯様にブルースのあふれかえった映画である。
いや、思いがけず良いものを見せてもらった。
つたない文章でどの程度伝えられたかはわからぬが、本文を読まれて興味をもった方は一度見てみるのも良いかもしれない。廉価版なら千円ちょいで手に入るし。
そして、このような機会をくれた知人に感謝、である。

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