暖かなたべものが恋しい季節である。
過日、近所の東●ストアにて、平積みに置かれた6号手の土鍋に激しく心を動かされた。
「・・・うちの子になるか?」
結果、購入の運びとなった次第である。
困ったもんだ。
土鍋でなにを作るか?
それほど手の込んだ事はしたくない。
というか、出来ない。
ならば、やはり王道である鍋ものがよろしかろう。
てけとうな材料をてけとうにぶった切っててけとうに煮込む。
これで大概、余程の事が無い限り、うまいものができるのだから、まさしく世界に誇りたい食文化であるといえる。
鍋万歳!ジーク鍋!
とりあえず、鶏肉を購入。
焼き豆腐を購入。
しらたきを購入。
葱を購入。
はくさいを購入。
春菊を購入。
大根を購入。
にんじんを購入。
ニラを購入。
しいたけを購入。
まいたけを購入。
うどんを購入。
揚げ玉を購入。
卵を購入。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
いやいや、がんばりすぎじゃね?俺。
男の料理である。
とりあえず目に付いたもの片っ端からかごにぶち込んだようなごらんの有様である。
いったい何作る気だ?
レジ通してから両手に買い物袋ぶら下げて
「何で俺こんなに買ってんだろ・・・」
とか、素に戻って自己嫌悪に明け暮れたりする。
そのとき、私は完全な阿呆であった。
家に戻って、戦利品を仕分けてから、まずはだしを引く事にした。
これだけの食材である、しばらくは作りすぎたカレーの如く、鍋ばっかり喰わねばならん。
そのためには、それなりにだしを引いておくのが吉と考えた。
両手鍋に水を入れ、これは常備品であるところの日高の昆布を半分ほど、よく水洗いをしてゴミやぬめりを落とし、だいたい60℃くらいのお湯でじっくりと時間をかけて煮出す。
温度が上がりすぎるとあっというまに海藻スープのような色となり、エグ味や青臭いにおいが出る。
出来うる限り火力を落として、一時間くらいかけて温度を保ち、ゆっくり煮出してやるのが良い。
気の抜けない時間である。
同時に、別の鍋でかつおだしをとる。
こちらは一度中の水をしっかりと沸騰させてから火を落とし、これでもかというくらいかつぶしぶち込んでやる。
待つ事数分、木綿で漉しとって出来上がりである。
この中に、昆布だしをぶち込んで熱をとれば、手軽で美味い、いいおだしの完成である。
では、鍋第一弾といこうか。
土鍋に鶏肉をぶつ切りにしたもの、大振りに切った葱、焼き豆腐、しらたきを敷き詰める様に並べてやり、その上にしいたけを乗っけてやる。
そして鍋に火を入れじゅうじゅう音がしてほどよく鍋が温まったら、先ほど作ったあわせだしを適量入れてやる。
味はシンプルにこの出汁と塩のみである。
ここで醤油などを入れるのは邪道だろう。
食材の旨みと出汁だけで十分に勝負できるはずだ。
鍋の中でグラリと煮立ったら火を最小まで落とし、遠火で肉が煮えて味が通るのをゆっくりと待つ。
程の良いところで春菊をあしらい、火を完全に落とし、余熱を通して出来上がりである。
美味いなあ。
なんで鍋ってこんなに美味いんだろう。
今度は魚でいこうかな。
白身ならなんでも良さそうだが、たらやほっけなんかもいいというし。
この冬は、土鍋一つで、なかなかに楽しめそうだ。
さて、余った食材で今度はどうしようかな?
大根やにんじんを煮て喰うのも美味そうだなあ。
みぞれ鍋もいいだろうし。
おっ、そういえばうどんもあったっけ。
明日の朝は鍋に残った出汁でうどんとしゃれ込もうか。
ニラ散らして、揚げ玉落として卵浮かべて。
考えただけで、オラなんだかわくわくしてきたぞ。
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