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2008/1/13 人生における、雑感、ボヤキ、など。
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「歎異抄は捨てられるか?」
「歎異抄は別格」

このような台詞を聞きつづけてはや四半世紀。
常々
「歎異抄なにするものぞ」
と考えてきた当方、ついに先日、くだんの歎異抄を手にとる機会があった。

歎異抄というと。
親鸞の弟子であるところの唯円なる人物が、親鸞亡き後の真宗の荒廃を嘆き、先人の正しき教えを世に顕さんと筆をとって編んだものである。
内容は、前半が師である親鸞の言行録、そして後半が唯円の「歎異」、つまり異を歎くという、愚痴といえばまさに愚痴を書き綴ったものとなっている。

なかなか。
古い文章なので、読解にも時間がかかってしまい、まだ全てを理解したわけではない。
また、扱う内容が内容だけに、理解の仕方も多様となりそうな気もする。
ただ、やはり仏教という宗教が基になっているだけに、どうしても納得いかないところが多数存在するし、容易くがえんじざるところもまた多い。

歎異抄で有名なところといえば、小学校か中学校の教科書でも教える悪人正機説が存在する。
「善人なおもちて往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」
というくだりだ。
当方のこの一節の理解としては、ほぼいつぞや学んだところから一歩も出るところではなかった。
つまり、善人ですら極楽浄土へ往けるのだから、悪人が往けないはずはないというものだ。
いろんな考え方が存在する。
生きるに厳しい時代、善人として一生を終えることができた人間でさえ極楽に行けるのだから、故あって悪に身を落とした人間が、極楽に行けぬ道理は無いという考え方。
そもそも”正機”、つまりは自分の悪を見つめ、発心する機会というのは悪人にしか存在しえず、すなわち悪人こそが極楽へゆく資格がある、という考え方。
まあ、様々解釈が存在するだろう。
今回、この歎異抄を読んでの一番の収穫は、この悪人正機に関しての宗教側の言い分を知ることが出来た事である。

浄土真宗という宗教の根本には”他力”なるものが存在するらしい。
つまりは、阿弥陀仏とやらは
「すべての命あるものを救わんという請願」
をしたという。
われわれはそれだけを一筋に信じ、ただただ
「南無阿弥陀仏」
と唱えればよい。
阿弥陀仏に縋る一事だけが、極楽往生する権利となる。
というのが”他力”というものの本質のようだ。

そこで前述の悪人正機に戻る。
善人である事、極楽往生するために善を積む、という行為は、すなわち”自力”の行為である。
これをする事は阿弥陀仏に縋ろうという心の無い、あるいは薄い人間である。
ゆえにこのような善人よりも、ひたすらに阿弥陀仏、すなわち”他力”に縋る悪人こそが、極楽浄土にゆけるという論法となる。

上を以って見るに、つまり浄土真宗の信者が能動的にするべき事は、念仏を唱えることだけのようだ。
なるほど、時代時代に弾圧を加えられたりしたこの宗教の戦いの歴史も頷けるものである。
つまりは、念仏さえとなえりゃ、何してもいいということだもんな。
なんの力も無い民衆にとっては、強烈な誘引力のある宗教といえるだろう。
この教義と、宗教が必ず腐敗し腐臭を放つことを考えると、坊主どもが時を経るに従ってどんなふうになってゆくのか、まあ、火を見るよりも明らか、である。
そも、随分とまあ、腐敗というものに弱そうな教義でもあるしな。
親鸞上人が儚くなった途端、教えが荒れて、その弟子である唯円がこんなものを書かなければならなくなった、という一事のみでも推して知るべしか。
自分でなんとかする、ということを否定しちゃ、人としてはお終いという気もするし。

とまあ、こんな風に、いろいろと考えさせられる読み物である。
これを読むことで、一向宗というものの歴史的な位置について、随分とすっきりして見えてきた、というのが最大の収穫だ。
そう云う意味では、読んでよかった一冊であった。
 

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