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2008/1/13 人生における、雑感、ボヤキ、など。
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季節モノである。
ちなみに、まともに考察などするつもりはない。
ちょっとしたネタと考えていただければ・・・。

高橋克彦の
『京伝怪異帖』
を読んでいてふと思った。
何ゆえ、幽霊には足が無いのか、と。
就寝前、布団に潜りながらつらつら考えた挙句導き出した答えが、下記のとおりである。

・足はあるが、見えにくい。
・なんとなく移動タイプが飛行っぽいから”足は要らない”と始めに足無し.タイプの幽霊を考えついた人がそのように設定した。
・足が無いことによって、幽霊と一目でわかる手軽さがうれしい。

この三つである。

第一に、足はあるが、見えにくいという奴について。
まずこれは、幽霊というものが実際に存在したことが前提である。
江戸期やそれ以前の日本家屋というものは、随分と薄暗かったのではないかと思う。
以前、大変態文豪であるところの谷崎潤一郎の何かのエッセイで読んだが、西洋的な文化は、闇を嫌い、室内なども徹底して明るさを求める傾向があるようだ。
それに対して日本的文化はある程度のほの暗さを許容、というかむしろそれを愛するところがあるらしい。
古い日本家屋を見ればわかるように、室内は至って薄暗い。
そして、構造的に、足下すなわち床などは暗色であり、壁などは漆喰や壁土など、比較的明るい色を用いられることが多い。
その上、幽霊の主な出現時間帯が夜であることを考慮する必要もあるだろう。
これらを考え合わせた上で、一般的な幽霊の容姿的イメージ、つまりどこかぼんやりした、半透明で向こうが透けて見えるイメージを当てはめて考えると、観測の仕方によっては足が”見えない”というのは十分に考えられる事態である。

次に第二の考え方について。
これは幽霊というものの存在は、あってもなくてもどちらでも良いというものである。
上記に挙げたとおりなので、説明するまでも無いが、実はこの説は第三の説とも密接なかかわりを持っていると考える事ができる。
そこで、順序はいささか混乱するが、まず第三の説を考えてみよう。

第三の説で言いたいことは、つまり、幽霊という存在が、足が無いということによって明確に認識(あるいは差別化)できるという事である。
人間というのは、本能的に”よくわからん”ものを恐れる傾向がある。
いうまでもなく、幽霊というのがその”よくわからん”ものの代表格に挙げられる存在であろう。
「人間の幽霊であるのだから、人間の形をしてるはずだ」
これが恐らく、人間型の幽霊のはじまりである。
なんだかよくわからん、曖昧模糊としたものに、人間の”かたち”を与えた格好だ。
かたちさえあれば、その存在さえ関知できれば、とりあえず恐怖する対象があるだけに、それは理解できる恐怖となるのである。
しかし、人間社会の肥大化とともに、それでは収まりがつかなくなるときがやって来る。
所謂、村社会から都市型社会への変遷である。
村社会においては、ひとつの集落において全員が顔見知りであり、人間が流れて歩くこともごくわずかであった。
それに対して都市型社会では、行き交う多くの人間が、すべて知らない人間であることがあたりまえとなったのである。
畢竟、より明確に幽霊というものを差別化して捕らえねばならなくなったという過程がある。
つまり、行き交う人の中に幽霊が紛れ込んでいても、それが幽霊であるとわからないという事態が持ち上がったのだ。
この現象は、人間の形をあたえたはずの幽霊というものが、再び曖昧模糊とした存在に逆行してしまうということに他ならない。
そして、人間はその恐怖に耐えられないのである。

そこで第二の説の台頭である。
或いは、過去においてとある人間が、足の無い幽霊というものを考え出したのだとする。
それが誰で、いつの事かは無学な当方はわからぬが。
しかし、それが時代というものに見事に合致していたということは良くわかる。
必要性がなければ、この日本という国に住むすべての人間の共通の認識となるほどに、広がることもなかったはずだからだ。
”足が無”くなることによって、幽霊という、薄暗がりに引っ込みそうになった存在が、再定義されたのである。
このように考えると、思想としては、ある意味とてつもなく偉大な一歩であるような気がする。

とか、まあ、うつらうつらしながら考えた事を、文章にするとこんなわけのわからんものになった。
ちなみに、当方は幽霊という存在を信じてはいない。
なぜなら、見たことがないから。
いっぺん目の当たりにすれば、信じるようにもなるのだろうがなあ。
まあ、信じたところで、おっかながるかどうかは、また別のお話。
想像してください。
暗がりに潜んでいる幽霊と。
暗がりに潜んでこちらをじーっと見つめている人間と。
はたしてどちらが本当におっかないか・・・。
うわ、こわっ!
やはり、人間がいちばんおっかないというお話。
 

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