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2008/1/13 人生における、雑感、ボヤキ、など。
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ここ札幌では、肌寒い日が続いている。
いや、むしろ寒い。
最低気温はここ数日四捨五入して零度である。
おかげで当方の花粉症も一段落と言ったところなのだが。
今も、窓の外では冷たい雨がそぼ降っている。

雨が好きだ。
外出時などは面倒に感じる雨も、自宅にいるときには格別である。
眠気を誘う雨音も、湿った空気とアスファルトの臭いも。
コーヒーでも淹れて、ゆっくりと本を読むには最高のひと時。
雨の日のぼんやりと弛緩した雰囲気が大好きである。
しかも春の雨。
弛緩しすぎて寝坊してしまいそうである。

”はるのあめ” ”はるさめ”
言わずと知れた春の季語である。
蕪村の春を詠った句の中では、梅、鶯、桜など、春の代表選手に引けを取らぬほど多くの句が残されている。
語呂が良い、というのももちろんあるだろう。
”春雨や” ”春の雨” いずれも五文字で初句と結句にしっくり来る。
が、寂寥の感すら漂うその空気が、人間の持つセンチメンタリズム、或いは詩心というものを刺激するのかもしれない。
単純に、人間の行動、というものが気象条件に大きく左右された江戸期に於いて、雨の降る日は家で俳句を作るぐらいしか出来ることが無かったのかもしれない。

”春雨や 鬼貫が文字のにじり書” 

等という句もある。 
春雨に降り込められ、為す事無く鬼貫の句をのたのた書き綴り、退屈を紛らわす様が目に浮かぶようである。
また 

”春雨や もの書かぬ身のあはれなる”

春雨を、筆も持たずにボーっと眺める身の何と素晴らしい事か、位の意味合いであろうが、ここでも雨に降り込められている模様が言外によく描写されている。
恐らくは、いずれの論にもいくばくかの真実が含まれているのであろう。

蕪村の句をつらつら眺めていると、春雨に係っていくつか”綱”という名詞が現われる。
羅城門の鬼を退治した渡辺綱のことである。
と思いきや、どうやら渡辺綱に由来した妓女の名前であるらしい。

”つなたちて綱がうはさや 春の雨”
”はるさめや 綱が袂に小でうちん”

一条戻橋の柳風呂の妓女とある。
当時の名物女みたいなものなのかもしれない。
が、蕪村の春雨の句の中で、当方が一番好きなのが

”狸にも綱にも逢はず 春の雨”

こちらは本物(?)の渡辺綱である。
人を化かす狸にも、また渡辺綱の鬼退治のような大事にもぶつかるわけでもなく、ただ、静かに、春の雨は降り続いてゆく。
世はおしなべて事も無し。
近頃、何かと世間は騒がしいが。
平和が一番、である。

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