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2008/1/13 人生における、雑感、ボヤキ、など。
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2~3日、急激に冷え込んで、札幌の平野部でも風花が舞う時があった。
どうやら、それが初雪だったらしい。
それでも積もる事も無く、一旦暖かくなったと思ったら、今日当りからまた気温が下がってきそうである。忙しい事だ。
今年は根雪が遅そうだ。

神山裕右著の『サスツルギの亡霊』というミステリを読んだ。
南極が舞台のこのミステリ、読み始めると止まらなくなる、なかなか危険な良作である。
近所の古本屋で、ふと指に触ったこの一冊を抜き出したのであるが、作者も聞いた事がない人物であるし、まあ、それほど期待はせずにめくって見たのである。
作者の神山裕右という人物を知らなかった。
どうやら史上最年少で江戸川乱歩賞を受賞した、期待の新人であるらしい。
2004年というから、今からおよそ5年前、24歳での快挙という事であった。

さて、作品としてはミステリというよりもサスペンスが勝ったものに仕上がっている。
スジはこんな感じだ。

南極越冬隊に参加したとある研究者が、内陸縦断の最中、現地で行方不明となった。
遺体は見つからなかったものの、参加していたメンバーの証言からとくに不審は見当たらす、事故死と認定される。
そしてその4年後の現在、死亡した研究者の義理の弟でプロカメラマンである主人公の元に、一通の絵葉書が届く、死んだはずの義兄からであった。
その事により主人公は事故そのものに疑問を抱き、カメラマンとして次期南極越冬隊に参加する事となる。
そして、その越冬隊には当時の事故を知る人間も複数参加している事を知る事となる。

昭和基地内で起こる殺人と、過去の事件、そして主人公と亡き義兄の過去、それらを交えながら物語は終端に向かっていく。
文章自体はサラリとしていてやや重厚さというものに欠けるきらいはあるが、であるが故に内容の面白さも相俟って、読書の苦手な人でも引き込むであろう不思議な魅力を持っている。
なかなか、凄い新人もいたものである。

乱歩賞というと、過去大勢の著名な作家を輩出している、文芸界の名門である。
ざっと挙げると、高野和明、桐野夏生、栗本薫、あと確か西村京太郎なんかも出身であったような気がする。
錚々たるメンバーだ。
当人の受賞作『カタコンベ』もあわてて購入し読んだが、これもまた面白い作品であり、過去の偉大な受賞作と何ら遜色が無い。

しかし、この2作品を読んで、確かに面白かった事は否定しないのであるが、どうにも後が続かないような不安も在る。
第一作『カタコンベ』は巨大な鍾乳洞の中で遭難者が織り成す、人間ドラマ的なミステリである。
そして今作『サスツルギの亡霊』は舞台が南極と、ありそうでない設定だが、どちらも設定勝ちの印象はぬぐいきれない。
スピード感のあるタッチでアクションシーンもなかなか読ませるものであるが、両作とも同系統の色が強すぎるのである。
人間描写という意味では確かにやや進歩に跡も見られるが、しかし、サスツルギの亡霊のラストはどうしても収束が上手くつかず、急ぎ足でgdgdとなってしまった印象が強い。
そのあたり、若さがでてしまったのかもしれないが、いずれこの作風では長続きしないような気がするのである。

サスツルギの亡霊から随分と経つようであるが、新作発表は聞こえてこないのも気になるところだ。
なかなか作風を変えるというのは難しいものであろうが、新しくなった著者の作品を読んでみたいものだ。
前述した西村京太郎も、ハードボイルド路線から作風をガラリと変えて大家として立ったのである。
まあ、それでも彼に関してはハードボイルド時代のほうが面白かったというのは当方の印象であるのだが・・・。
兎に角、次が楽しみである。
アンファンテリブル、トルーマン・カポーティのようにならないことを期待して止まない。
まあ、あそこまでいけたら、それはそれでたいしたモンなのだが、な。

 

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